トヨタ博物館

 トヨタ博物館は愛知県長久手市にある自動車の誕生以来の歴史を展示している有料の博物館になります。名前からはトヨタ自動車の歴史を展示した企業ミュージアムを想像していましたが、展示車両は国内外を問わずトヨタ車以外の車も含め約160台展示されており、ここは自動車博物館と思って来場した方がよろしいかと思います。よって、トヨタファンの方には少しがっかりする展示内容かと思いますので注意が必要です。でも、流石に世界のトヨタだけに施設・展示内容・案内係ともに一流の博物館かと思いますので、自動車ファンなら一見の価値があります。という訳で初めてのトヨタ博物館に突撃です。







 
トヨタ博物館へのアクセスは名古屋から地下鉄東山線で藤が丘まで行き、そこからゆりかもめのようなリニモに乗り換えます。まぁ、名古屋からは1時間弱くらいでしょうか?リニモの芸大前駅の手前で巨大な建物が見えてきます。車の場合は東名高速から日進JCTを名古屋瀬戸道路で長久手ICで降りればすぐですね! 駐車場も広いので電車で行くよりは車の方が楽かもしれません。

トヨタ博物館 【画像上】
 
入館料は大人千円と割りと高めの設定ですが、ここは企業ミュージアムの概念は捨てて博物館と思って入館しましょう!施設規模や展示内容、サービスを考えれば納得の値段です!まぁ、それでも恐らく赤字だろうけど・・・



トヨタAA型 【画像上】 
 
入口を入るとメインに展示してあるのは、トヨタ自動車初の生産型自動車のトヨダAA型だそうです。復刻車とのことですがトヨタ自動車の歴史を語る上で重要な車両ということでしょうか? 観音扉のドアが時代を感じますが、この頃はまだ外車の方が信頼性があり国産車シェアは低い時代と思われます。



ベンツ・パテント・モトールヴァーゲン 【画像上】 
 
2階フロアへはエスカレーターで上って行きます。まず、あるのは実用化ガソリン自動車の第一号ベンツ・パテント・モトールヴァーゲン(1886年)のレプリカになります。クランクケースがなくクランクシャフトとコンロッドがむき出しのところが凄いですな・・・燃費は意外と悪くリッター10kmだそうです。




 2階フロアは1950年代までの世界の迷車・・・じゃなくて名車が展示されています。よって、このフロアの展示車両のほぼ全てが外国車となっています。まぁ、これだけの車両を集めた情熱も凄いですが、豊田社長は大の車好きとして有名なので個人的趣味で集めて博物館を造ってしまった・・・といった感じがしなくもないけどね(苦笑) まぁ、どっちにしろ自動車文明の歴史を知る上では貴重な車両ばかりです。



 画像は20世紀初頭の頃の車両になり、1928年製シボレーフォードモデルAをはじめ1912年製キャデラックモデルサーティなどが展示されており、画像上の1931年製のキャデラックシリーズ452Aは、なんとV16エンジンだそうです(驚)



 
 1922年製のモーガン・エアロだそうです。フロント2輪のリア1輪のスリーホイラーとフロントの空冷V型ツインエンジン特徴的です。そのせいか愛くるしいマスクとなっており、これと構造が殆ど変わらない復刻車も販売されています。安全基準がどうかは別として軽量ボディならでは走りが味わえるかと思います。復刻版は2000ccで車重は600kgだそうです。お値段は7百万円也―



ロールス・ロイス&フィアット 【画像上】 
 
黄金に輝く車は1937年製ロールス・ロイス 40/50HP ファンタムVだそうで、この時代から高級感がありますね! 画像右上はトッポリーノの愛称で親しまれた1936年製フィアット500で、現在までそのデザインとネーミングを継承しているところが凄いです。



ブガッティ&プジョー 【画像上】 
 
ボブブスレーのソリにタイヤを付けたようなブルーの車両はレースでも活躍した1926年製ブガッティ・タイプ35Bになります。画像上右は1938年製のプジョー402になります。この頃はまだ国産の量産自動車のシェアが少なく外車ばかりですね・・・




 真っ白いボディがエレガントな車両は1937年製のSSジャガー100になります。イメージとしてはルパン三世のオープニング車両なのですが、ルパンの愛車はジャガーじゃなくてメルセデス・ベンツSSKになります。年代的には同じなだけにスタイルも似ています。光岡自動車が造ったシルビアベースの形だけのハリボテ・ラセードとは全く違いますな・・・



リンカーン&キャデラック 【画像上】 
 
画像上左は1937年製リンカーン・ゼファシリーズHBで、画像上右が1938年製キャデラック・シリーズ60スペシャルだそうで、この年代の自動車産業はアメリカ勢強しといったところか・・・




パッカード

 強くて偉大なアメリカを象徴するような車は1939年製のパッカード・トゥエルヴになります。アメリカの最高級車の地位を得たメーカーだそうでアメリカ版のロールス・ロイスといったところか・・・ここに展示してあるのは第32代アメリカ合衆国大統領ルーズベルトの専用車として使われていたものだそうです。



ポルシェ&ジャガー 【画像上】 
 
画像上左は1951年製ポルシェ356クーペになります。ジェームズ・ディーンも550スパイダーの前にはこの356に乗っていました。どちらの車両もワーゲンエンジンベースのレプリカがあるようです。画像上右の同じくシルバーの車両は1951年製のジャガーXK125になります。




 ガルウィングが特徴的な1955年製のメルセデス・ベンツ300SLは石原裕次郎さんも乗っていたのは有名ですが、裕次郎さんの愛車は小樽の石原裕次郎記念館に現存するみたいです。また、映画007の「007は二度死ぬ」でボンドカーとしてショーン・コネリーがドライブしていたのでも有名ですね!現在では億以上の価値がありレプリカもあるようですな(汗)



国産車コーナー 【画像上】 
 
3階は1950年代から1990年代までの国産自動車が展示されています。エスカレーターを上るとまず迎えてくれるのが1955年製トヨペット・クラウンになります。国産車の信頼性が高まって、やっと国内シェアを伸ばしたのがこの年代でしょうか?



日産&日野 【画像上】 
 
フロアでは年代別に車両が並べられており、画像左は1959年製の日産オースチンA50型、画像右は1962年製日野ルノーPA62型、画像上手前の真っ赤な車両は1961年製の日野コンテッサ10型になりますが、まだ、外国車の技術提携を受けていた時代ですね!




富士キャビン&マツダ 【画像上】 
 
ゲゲゲの鬼太郎に出てくる妖怪のような車は1955年製の富士キャビン(現在の小松製作所)BA型というキャビンスクーターになります。隣は1961年製マツダ(当時は東洋工業)R360クーペKRBB型になり、マツダが自動車市場に参入した車両になります。



トヨタ対日産 【画像上】 
 
トヨタ対日産の構図は1964年製プリンス・グロリア・スーパー6と1963年製トヨペット・クラウンRS41型になります。特にこのプリンス・グロリア・スーパー6はアメ車らしいデザインですが、デザインベースとなったのはシボレーのコルベアだそうですからアメリカンっぽいのは当然ですね!




軽自動車対決
 
 軽自動車対決は1969年製ホンダN360と1967年製のスズキ・フロンテ360 LC10型になります。同じ360ccのエンジンですが、ホンダが空冷4ストローク2気筒SOHCに対してフロンテは空冷2ストローク3気筒エンジンと対照的な構成です。現在では車・バイク共に使われなくなった2ストロークエンジンですが、この頃は車にも使われており紫煙を上げながら走っていたっけ・・・




大衆車対決

 大衆車対決は1966年製のトヨタ・カローラKE10と日産サニーB10型になります。高値の華だった自家用車を身近な存在にしたのが、このカローラとサニーになります! 日本の高度成長時代を支えてきた車と言っても過言ではないでしょう! 当時はライバル車だったので、こうやって並べられることもなかったでしょうが、今となって共に戦った良きライバルといった感じでしょうか?



いすゞ&三菱 【画像上】 
 
いすゞの名車1966年製のべレット1600GT PR90型と三菱の1971年製コルト・ギャランGTO−MR A53C型になります。ずんぐりむっくりしたべレット(通称:ベレG)は1tを切る車重でレースでも活躍しました。GTOは小学生の時にプラモ作ったっけな〜




ソアラ

 1981年製の初代ソアラですね!エンジンは2.8LのDOHCの5M−GEUで、この頃はまだドアミラーが解禁されておらずフェンダーミラーですね! しかし、後期型ではドアミラー車もあることから規制緩和される過渡期の頃の車両といえます。このZ10型のソアラは1981年発売され、1983年にマイナーチェンジして1986年まで発売された後、フルモデルチェンジしました。



新旧対決 【画像上】 
 
トヨタの最高級スポーツ車の新旧対決は1968年製トヨタ2000GT MF10型と2005年製のLFAになります。どっちの車両もプレミアが付き新車価格以上の価値がりますが、2000GTが1億以上、LFAが5千万以上で取引されているようです。



新館2階 【画像上】 
 
新館の2階は子供受けする働く車シリーズが展示されており、パトカーや消防車、救急車、JAFや道路公団の車両など普段は乗ることが出来ない車両が展示されており、実際に乗ることが可能です。まぁ、パトロールカーと救急車には乗ったことあるんだけどね(苦笑)その他には昭和レトロを集めた展示物もあり、どこのコレクターもこの手の昭和レトロが大好きですね(苦笑)



新館3階&レストラン 【画像上】 
 
新館3階には図書室があり洋書も含め多数の車関係の書籍を読むことができます。また、本館1階にはレストランが完備されており、料理だけでなくアルコールも楽しむことができ、別館1階にはお土産を購入できる売店もあります。よって、大型バスを連ねて社員旅行なんかで来ている方もいましたね・・




ボンネットバス

 屋外に展示してあるのは1963年製トヨタボンネットバスFB80型になり、直6OHVガソリンエンジン3.8Lで170馬力とのこと・・・トヨタ製のボンネットバスというのは珍しいかと思います。今ではマイクロバスはしか造っていないからね〜 貴重な車両かもしれませんが、フロントマスク部分は当時の消防車なんかと共通のような気がします。






編集後記

 さて、今回のトヨタ博物館は如何だったでしょうか? 展示物はトヨタ車が少なくてがっかりした方も多いかと思います。自分の世代では1950年以前の車なんて全く解りませんから、名前こそトヨタ博物館ですが、まんま自動車博物館ですね・・・また、レース車両に関しては全く展示されておりませんので、その辺を期待していた方も残念に思うかもしれません。とはいうもの世界の貴重な車をよくここまで集めたもんだ・・・別館の昭和レトロといい、豊田社長の個人的趣味で造ったコレクター博物館と思えなくありませんが、国内有数の自動車博物館には間違いありませんので、興味のある方は一度れてみては如何でしょうか?















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