カワサキワールド訪問記(神戸海洋博物館)

 この度、以前より行ってみたいと思っていたカワサキワールドを訪れる機会に恵まれました。カワサキワールドとは、神戸メリケンパーク内の神戸海洋博物館内にある川崎重工グループの企業ミュージアムで、川崎重工の陸・海・空の代表的な製品を主に紹介した施設です。バイク乗りにとってはオートバイメーカーとして馴染み深い川崎重工ですが、新幹線やヘリコプター、飛行機や船だけでなく、潜水艦や戦闘機といった防衛関連の製品まで造っているスケールの大きい企業です。 今回は、丁度モーターサイクル・レーシングフェアが開催されており、往年のカワサキレーシングマシンも見ることができて、とてもラッキーでした。




創業者コーナー 【画像下】
 
神戸海洋博物館内のカワサキワールドに足を踏み入れると、まず。川崎重工の社章が迎えてくれます。壁面には川崎重工の歴史が年表になっており、創業者コーナーでは川崎正蔵についてや前身の川崎造船所の歴史について記載されております。
 【画像上左】は川崎重工初の航空機用エンジンKAE-240 型です。空冷水平対抗6気筒で240PS を発揮するそうですが(この辺が型式の由来か?)、実際に搭載されることは無かったそうです。【画像上右】は初代ジェットスキーですが、ジェットスキーはカワサキの商標登録された製品なので、他メーカーの製品は正確にはジェットスキーではないんだよね(苦笑)


ヒストリーコーナー 【画像上】
 
【画像上左】はトンネルを掘るシールドマシンですが、掘ったあとからブロックを組み上げてトンネルを構築してしまう優れた機械です。【画像上右】はガスタービンエンジンですが、ガスタービンというと航空機のエンジンを想像しますが、発電所や非常用発電機の動力としても用いられています。


モーターサイクルギャラリー 【画像下】
 
ヒストリーコーナーを抜けるとモーターサイクルギャラリーになり、入口ではマッハVやW1、メグロといった往年のカワサキ車が出迎えてくれます・・・って言ってもメグロはカワサキ車じゃないか(苦笑)
 やっぱ往年のカワサキ車といえば何と言ってもZ1でしょう! 北米市場でのシェア拡大を目的に開発され、開発コードネームはアメリカを象徴する「ニューヨークステーキ」だったことは有名な話です。まぁ、ホンダのCB750FOURが先に発売され一時は開発中止になったとかならなかったとか・・・展示車両は一見すると初期型ファイアーボールですが新車ではないようです。まぁ、今となっては当時の新車価格を遥かに上回る金額で取引されているけどね(苦笑)


Z1R & KZ1300 【画像上】
 
本Z1R(T型)とKZ1300(水冷6気筒)も展示されています。当時は逆輸入車なんて無かった時代ですから、憧れというよりも遥か遠い世界の存在で雑誌の中だけの車両でした。それにしても格好エエなぁ・・・この角ばったデザインが何とも言えん! でも、当時は男カワサキなんて正直あまり興味無かったけどね(苦笑)


Z400FX & Z1000P 【画像上】
 
やっぱ、こっちの方が馴染み深いねZ400FX! しかも、ド初期の赤タンク! 管理人が中1の時に発売されて確か新車価格は38万5千円だったはず。ヨンフォアが生産中止になって久しぶりの4気筒でマルチブームの火付け役だったよね(笑) 【画像上右】はZ乗りの救世主Z1000Pで、J系のエンジンパーツ供給に不安が無いのはこいつのおかげです(感謝!)


 モーターサイクルギャラリーの全景ですが、フロントドラムブレーキの350SSがいい味出してるねぇ〜 350ccって言うと何か中途半端なモデルのように感じるけど、当時のWGPは500ccの下は350ccクラスだったから、2スト350ccは真の王道マシンでした。400ccクラスなんて日本の免許制度が勝手に区分したから出来ただけのことだし(苦笑)
TR250 & KR-2 【画像上】 
 【画像上左】は1974年製のTR250で現在のTR250のモデルとなったマシンです。とはいうものエンジンは2ストだしスタイル以外の共通点はありませんなぁ〜 【画像上右】は1969年製のカワサキロードレーサーKR-2だそうですが管理人の世代では正直わからんわな(汗)


GPz900R & ZX-11 【画像上】
 
巷ではめっきりノーマルで見かけることが無くなったニンジャですが、このアンチノーズダイブ付フロント16インチのニンジャはホント見ないよな〜 ビンテージの世界では何でも初期型が人気だから今後は貴重かも? 【画像上右】もめっきり数が少なくなったZX-11(C型ね!)で、J系においては流用オフセットスプロケットとして重宝されています(笑)


ボイジャー & ZX-7 【画像上】
 【
画像上左】はボイジャー1300ですが、ボイジャーはよくゼファー1100のエンジンのベースになったと言われますが、こいつは6発のKZ1300ベースなので全く関係ありません! ゼファーのベースとなったのは後の水冷4気筒1200ccのやつね! 【画像上右】は北米仕様の1991年式のZX-7です。


現行車 【画像上】
 
ギャラリー後半には絶版展示車だけではなく現行車も展示されており、こちらは触ったり跨ることができます。ニンジャ600にダエグ、W800にバルカンといったところですかね? まぁ、カワサキフリークでも現行車に全く興味のない管理人としては正直「ふ〜ん」で終わってしまうのですがね(苦笑)


 最後にはエンジンのカットモデルも展示してあり、バルカンとZZR1400のエンジンかな? しかし、ZZRのエンジンはZと比べるとバルブの挟み角が小さく吸気ポートからシリンダー、排気ポートへの流れが全く異なっているのが確認できます。大昔にZにダウンドラフトのキャブ付けて喜んでるカスタム車両を雑誌で見たけど全く意味のないことが解ります。【画像右】はツアラーの1400GTRね!


部品メーカー 【画像上】
 
廊下ではサスペンションメーカーのショーワとカヤバ、タイヤメーカーのブリヂストンの製品における構造について展示されていました。もしかすると、モーターサイクル・レーシングフェアが開催されている為、特別に展示されているものかもしれません。



 モーターサイクルギャラリーを抜けると初代新幹線0系が出迎えてくれます。う〜ん、でもド初期は側窓が小窓じゃなくて大窓じゃなかったっけ? しかも、車体側面のラインが100系風なのがイケてないです・・・ん〜残念斬りっ!(by波田陽区) 運転席の速度計はMAX260km(営業運転は当初210km)スケールで、車外には初代のシートも展示されていました。実はこのシート、対面にするのにシートを回転させるのではなく背もたれが倒れる構造になっています。



 0系新幹線の後ろにはカワサキ重工製のタンデムローター・ヘリコプター美濃も展示されています。このヘリはボーイング・バートル社が開発したV-107 ヘリを川崎重工がライセンス生産したもので自衛隊機として活躍しました。(現在はCH-47に世代交代して全機退役済)タンデムーローター機は前後のローターが逆回転することにより機体姿勢を保っている為、シングルーローター機と異なりテールローターがありません。



船舶コーナー 【画像上】
 
新幹線、ヘリコプターとくれば当然、船舶のコーナーもある訳ですが流石に実物は入りません(汗) よって、タンカーの船首部分の模型裏では船の製造工程や新幹線の製造工程をビデオにて紹介しています。ジェットスキーに関しては実物が展示されており跨ることが出来ますが最新鋭の300Xではなく260Xです。最新の300Xは1498ccスーパーチャージャー付で300PSオーバーだとか・・・(驚)


産業用ロボット 【画像上】
 
その他には無人交通システムや産業用ロボットも展示されていました。産業用ロボットは自動車メーカー等の生産ラインで活躍しております。ちなみに、産業用ロボットとバイク、ガスタービンエンジンは明石工場、鉄道車両は兵庫工場、船舶関係は神戸工場で生産されています。



モーターサイクル・レーシングフェア 【画像下】
 
さて、本来ならこれでカワサキワールドの紹介は終了〜っ!となるはずですが、冒頭の通りモーターサイクル・レーシングフェアが開催されていましたので、その様子をご紹介したいと思います。ここからの車両はいつも展示されている訳じゃないから、勘違いしないようにね〜!
 展示室に入ると右にモトクロス系車両、左にロードレース車両が展示されています。正面には大型のスクリーンでレースシーンやオンボードカメラの映像が流されています。背面には最新のZX-10とKX250Fが展示されており跨ることが出来ました。


モトクロス 【画像上】
 
オフ系は正直言ってあまり詳しくないのでサラリと流しますが、手前からKX450R(2007年)、KX125R(2002年)、KX250(1997年)、KX125SR(1989年)だそうです。う〜ん、4ストと2ストの違いくらいしか解らんな・・・(汗)


KR250(1979)

 KR250(1979)で、この頃のカワサキは強かったんだよね!1978年〜1981年までWGP250cc世界チャンピオンを取っており、1978年と1979年のチャンプのコーク・バリントンは350ccクラスでもチャンピオンになっておりダブルタイトルを獲得しています。この頃はダブルエントリーのライダーがいたよなぁ〜 フレディ・スペンサーも500ccと250ccでダブルタイトル取ってるし・・・


KR1000(1982) 【画像下】
 
うひゃ〜 KR1000だぁ〜 格好いいなぁ〜 KOOLのスポンサーロゴも決まっています(泣)! こんなの当時の8耐特集の雑誌(今でも所有)でしか見たことありません(汗) あとは、田宮のプラモとか・・・カウルの隙間からエンジンを覗くとツインプラグになっており、カウルステーはヘッドカバーから延ばしているのが確認できます。
 フロントは16インチホイールに、もしかしてリンク式サス?と思ったらフローティングされたFキャリパーでした。この時代だと上野真一が8耐で駆ったXJ750 がフロント・リンクサスだったもんで(苦笑) リアはカワサキ特有のユニトラックサスです。


ZX-RR(2000)

 ZX-7RRかぁ・・・カワサキのスーパースポーツの中では一番好きだな! アンダーカウルのオレンジ色のエーテックステッカーはワークス車両の印! 通常の商品に付属されているのは黒色です。ブレーキ周りはブレンボで統一されていますが、ブレンボのカワサキ用レーシングローター(6mm)って他社と異なり取り付けピッチが市販車とは異なるんだよね! えっ? 管理人はどうしてるかって? それは秘密です(笑)


Ninja ZX-RR(2005) 【画像上】
 
MOTO GP 2005年モデルのZX-RRで、こちらの車両もブレーキはブレンボですがフロントローターはカーボン製です。リアのキャリパーに関しては管理人が使用しているものと同じものかと思いますが、数年前にリリースされた市販品?の削り出しのリアキャリパーとはパット形状と固定方法が全く異なっており、キャリパー固定用ボルトもM7だったりして探すのに苦労しました・・・しかも、すんご〜く高かったし(泣) M7のボルトなんて初めて見ました(汗) まだ、市販品が出る前だったから仕方なかったんだけどね(苦笑)


グッズショップ

 今回はモーターサイクル・レーシングフェアが開催されていたので、クイズラリーに正解すると画像の缶バッチが貰えます。まぁ、殆どは簡単な問題ですが答えは各ブースを見れば解るようになっています。また、出入口脇にはグッズショップがありカワサキグッズカタログに掲載されている商品を購入することができます。ただ、【画像下右】のカワサキオリジナル瓦せんべいに関しては、ここでしか購入できないようです。



編集後記

 今回、カワサキワールドを訪れてみて、川崎重工という会社の大きさを感じることが出来ました。ここでは、陸・海・空といった輸送機器を中心に展示されていますが、その他にも環境プラントといった事業も展開しており、管理人にとっては仕事柄こちらの方面の絡みが多いです(苦笑) このようなPR施設を造れるということは会社の規模が大きいからであり、色々な技術が我々の愛機にも注ぎ込まれていることが想像されます。まぁ、重工業だけに少々造りが荒っぽいところもありますが、その辺はご愛嬌ということで(笑) ということで、皆さんも機会があれば是非カワサキワールド訪れてみては如何でしょうか? ちなみに、休館日は月曜で入場料は神戸海洋博物館の入館料(\500)に含まれております。






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