マークJエンジン製作日記(セッティング編)

 組立編で無事に火が入ったマークJエンジンですが、1,600kmのナラシ運転も終えたので、いよいよ最終章のセッティング編となります。セッティング編ではシャーシダイナモを使用して、ただ単にパワー計測するだけでなく、空燃比計を用いて客観的にデータで煮詰めていきます。それでは最後の仕上げマークJエンジン製作日記(セッティング編)のはじまりです。





点火時期

 イグニッションユニットはASウオタニのVer.PAMSを使用していますが、ベンチに載せる前に点火時期の確認を行います。ウオタニの場合はタイミングプレートの合いマークで大体は合わせることも可能ですが、タイミングライトを使用して正確に合わせます。ウオタニの場合はSTDとハイコンプの2種類の進角カーブが選択できますが、進角カーブはベンチデータを見ながら選択します。




コンプレッション

 組んだばかりのエンジンなので問題ないはずですが、一応コンプレッションゲージで圧縮の確認を行います。ピストンもカムもノーマルではないので何ともいえませんが、J系マニュアルによるとスタンダードの値は11.2-13.2kg/cm2になります。ちなみにこのコンプレッションゲージの測定値は、圧縮比と関連はしますが一致はしません。何故なら圧縮比はあくまで静的に考えた比率だからです。




ダイノマシン


 使用するシャーシダイナモはリターダ付のダイノマシンになります。電磁式リターダは一般的には電磁ブレーキとして使用されていますが、ここではエンジンに負荷を掛けるために使われます。つまりリターダの負荷を変えることにより、加速状態や登坂状態等の実際の走行状態を再現することが出来ます。また、PC画面では出力やトルク、速度やエンジン回転数といったデータだけでなく、空燃比も確認することが出来ます。



センサー 【画像上】
 マフラーにO2センサーを突っ込むことにより空燃比を測ることができます。理論空燃比は14.7ですが、これはガソリン1gを完全に燃焼させるには14.7gの空気が必要という意味です。ということは空燃比計で14.7になるようにセッティングすれば良いように思われますが、実際には理論通りにはならず、13前後にセッティングするのが一般的みたいです。まぁ、厳密には回転域や始動時などの条件により違うけどね。



測 定

 それでは実際にベンチを回してみることにします。通常は4速で測定するそうですが回転の上昇がかなり鈍いです・・・やはりファイナルが合っていないのがベンチ上でも確認することができました。2速でも計測してみましたが3速で測定するのが一番いいようです。また、レブリミットはウオタニのユニットの設定で10,600rpmとし、計測時はレブリミットが効くまで回します。


                     測 定 風 景



セッティング


 実際のセッティングは地道な作業で、キャブをバラしてはベンチを回す繰り返しです。セッティングはキャブだけでなくウオタニの進角カーブも変更してベンチデータの変化を確認します。インジェクションだったら空燃比も点火時期もパソコン上で変更することができるから楽なんだけどね・・・結局10回ほどベンチを回してセッティングは終了となりました。



測定結果 【画像上】
 測定結果は上記の通りMaxパワーで124.08PS(約9,600rpm)、Maxトルク10.37kgf・m(7,000〜8,000rpm)ってところですかね・・・まぁ、可もなく不可もなくといった平凡な結果です。以前のMkUエンジンのデータともほぼ同じ結果でした。




編集後記
 これで、マークJエンジン製作日記は全て終わりになります。まぁ、加工編を見ていただければお解かり頂けるかと思いますが、苦労した割には大した結果ではありません。まぁ、そもそもの製作コンセプがZ1000Pの新品部品を多用して将来にわたり安心して乗れることですから・・・パワーは二の次というこでこんなもんかと思います。でも、やり方次第ではもっとパワーを出すことは可能かと思います。しかし、年々部品供給が厳しくなっているので、耐久性を考慮するとこの程度が速い、壊れないのおいしいとこ取りで丁度良いのではと思います。










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