以前(2000年頃)にフレーム補強と足回りを一新した時の記録です。最近は17インチが流行りみたいですが、個人的にはZはスタイリング的に18インチが格好いいと思っています。(17インチ派の皆さんゴメンナサイ!) また、スタイルだけでなく乗り味も18インチの方がZらしいハンドリングを楽しめると思っていますが、この辺はエンジンと異なり数値で良し悪しを表せないので個人の好みになります。こちらの作業も、ショップ社長のお手伝いという形で関わらせて貰いました。


車体の分解
 フレーム補強を行う為に不必要な部品を外す。タンデムフレームもカットする。最近は補強材キットとしてセットになって発売されているものもあるが、今回は大阪のケイファクトリーさんが制作してくれた補強材とワンオフ品を使用
レイダウン加工
 レイダウンブッシュはキットのものもあるが、スイングアーム幅やチェーンラインにより取り付け幅が変わるので旋盤で削り出す。取り付け位置はノーマル車高を基本にショック長やショック角度を考慮して決定する。


ステアリングステム
 ステムキットはギルドデザイン製を使用、ノーマルのハンドルロックを使用する場合はステムシャフトに加工が必要です。今回はZ1と同様にアンダーブラケットにハンドルロックキーシリンダーを取り付ける為、ロック用プレートをヘッドパイプに溶接する。
TIG溶接
 製作した補強材をTIG溶接する。補強材は左右均等になるように溶接、たまにレイダウンブッシュが左右ズレている車両が見受けられる。この辺は強度も必要とされる為信頼のあるショップに作業を依頼しよう。


塗装の剥離
 塗装の剥離は剥離剤を使用すると便利ですが、皮膚に着くとメチャメチャ痛いので注意して取り扱う必要性があります。溶接部分は溶接の接合性を高める為に、事前に塗装を削るか剥離しておく必要があります。
サンドブラスト
 フレームの補強が終了したら塗装の下地造りの為サンドブラストを行う。塗装屋さんがブラスト屋さんに外注する場合もあるが通常は塗装屋さんでやってくれる。写真は落下式ブラストガンで小物のサビ落しに便利。


粉体塗装
 サンドブラスト後のフレーム、この後に粉体塗装を行う。粉体塗装はスプレーガンで届かない部分にも塗料がまわってくれるのでフレームの塗装には最適です。最近は色・艶も色々選べるので好みに応じて仕上げが出来る。
車体の組み付け
 
塗装後は、ネジ部分をタップを使用して塗装を剥がす。そのまま組むとネジ山を潰す場合があるので注意が必要です。親切な塗装屋さんだとネジ部もマスキングしてくれたりする。マスキングテープは釜に入れるので耐熱テープを使用します。


●まとめ(シャーシ編)
 フレーム補強はエンジンと異なり数値で良し悪しを表せないので、好みとショップの経験で入れています。補強で注意しなければならないのは、MKU・Z1Rの場合は左サイドカバーの一番下の取り付け用グロメットがエンジンハンガーにあり、Z1同様にピポットに補強を入れると左サイドカバーが付かなくなる恐れがあります。また、ヘッドパイプ下に補強を入れる場合はオイルクーラーの取り付けを考慮して入れることが必要です。レイダウン加工においては、まず足廻りを決定させなければ行うことが出来ません。何故ならタイヤの幅によりスイングアームの必要幅が決まり、レイダウンブッシュの幅も決まるからです。これを考慮しないでレイダウンすると、ショックが後ろから見てハの字や逆ハの字になってしまいフリクションが増えてしまいます。またホイールによってはチェーンのオフセットが必要であり、オフセットするとリヤショックにチェーンが干渉する恐れがあります。よってスイングアームのショックマウントの取り付け幅も広げなくてはいけません。そう考えると現行車並に太いタイヤを入れたいとお考えの方もいるかと思いますが、リヤタイヤのサイズは18インチ160までが良いのではと思います。また前後方向ではショックマウントの位置により車高も変化してしまうので、ショック長や角度を考慮して決定しなければなりません。フロント廻りではステムを他車種から流用する場合、ハンドルロック・ハンドル切れ角・メーターの取り付け等の問題が生じます。ハンドルを切るとフォークがタンクに当たってしまう場合もありますし、ラバーマウントされているメーターをリジットで取り付けるとメーター球の球切れの原因になります。よってフロントフォークは流用してもステムは車種専用のものが良いのではと思います。この様にフレーム加工を施す前には何回も仮組みを行い調整しなければなりません。これを怠ると折角塗装したのにまた溶接が必要になったなんて具合になります。一見簡単そうに見えるフレーム加工ですが、この様な苦労の末完成していることを御理解頂きたく、今後のフレーム加工に少しでも役立てて頂ければと考えております。  






チューニング(シャーシ編)
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